いすゞ元期間従業員に賃金全額支払い命令
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◆休業扱いは「不当」の判断
5月13日の日経新聞によると、契約期間が残っているのに減産によって休業扱いとし、賃金を6割に減額したのは不当として、いすゞ自動車栃木工場の元期間従業員ら3人が契約期間中の賃金全額支払いを求めた仮処分申請で、宇都宮地裁栃木支部は5月12日、いすゞに全額支払いを命じる決定をしたとのことです。3人への支払額は計約80万円。
この事件、元々は期間途中で解雇通告をしたのを撤回、契約の残り期間を休業扱いとして、平均賃金の60%の休業手当を支払うとしたものです。
記事によると、判断基準は次の通りです。
・一方的な減額は労働者側にとって過酷で重大な不利益
・制社員は休業日数が少なく賃金が減額されなかったが、この待遇差別に合理性を認めることは困難
・営業、経常利益は黒字で、経営状況は健全である
◆契約期間途中の解約の合理性
いろいろ難しい問題をはらんでいますね。
まず当初、いすゞ側が、期間途中で労働契約を解約しようとしたことですが、これは確かに問題あり。
有期労働契約では、会社は「やむを得ない事由」がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することができません。
解雇については、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法第16条)とする「解雇権濫用の法理」が適用されます。
しかし、労働契約期間途中の解雇の場合は、それ以外の解雇の場合よりも要件が厳格に判断されます。それが「やむを得ない事由」ということだとご理解ください。
実際の解雇において、解雇理由が「やむを得ない事由」に該当するかどうかは、個別具体的な事案ごとに判断するしかありません。
誰が考えてもこれ以上その人を雇い続けるのは問題がある状態であるとか、会社存亡の危機にあるというぐらいの重大な不都合が生じた場合と考えていいでしょう。
◆いすゞの対応の是非
では、いすゞが解約を撤回して休業扱いにしたことは、どうなのでしょうか?
これを一概に不当と断じることはできません。
労働基準法第26条には、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」という規定があります。
これを「休業手当」といいます。
この「使用者の責に帰すべき事由」には、病気など本人の責に帰すべき事由以外のすべての事由が該当します。(ただし、不可抗力によるものを除きます)。
経営不振などで一時休業をする場合なども、「使用者の責に帰すべき事由」になり、休業手当の支払が必要です。
逆に言うと、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払えば、休業は可能なわけです。
その点では、いすゞの措置は違法ではありません。
ただ、今回、混乱を招いた理由のひとつが、当初は期間途中の解雇としようとした点でしょう。
また、これは雑誌などの報道ですが、いすゞ側の説明も不十分だったようです。
そして、正社員は賃金減額がなかったことも、合理性なしと判断される原因になっています。
以上を総合すると、いすゞには酷な言い方かもしれませんが、やはり会社の対応に誠意がなかったことに尽きるような気がします。
経営不振で、休業や人員削減をやらざるを得なくなることはあるでしょう。
その場合に、会社に求められるのは、次の3点です。
これを十分念頭に置いて、慎重に進めましょう。
・コンプライアンス
・説明責任
・誠意ある対応
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