2009年12月18日 (金)

人事コンサルタントの雑記帳(12)~就業規則コンサルティング(12)~基本方針の確認

就業規則診断結果をリポートしたら、それを踏まえて、クライアントの基本方針を確認します。

ここをしっかりやることで、作成・改定の軸ができます。
仕事を進めていく中で、「ここ、どうしようか」と思い悩む場面が出てきます。
そんなときは、基本方針に立ち返ることで、軸のぶれない就業規則が作れるのです。

基本方針は、次の3つになります。

①人事労務の基本方針
②当面の重点課題
③主要項目ごとの基本的な考え方

①人事労務の基本方針

・成果重視か年功重視か

・長期決済型か、短期決済型か
これは定年までの雇用を前提とするかどうかということです。

・正社員中心型か雇用多様型か

これらは、二者択一ではありません。
「成果を重視するが、年功も加味する」というように、両方の要素を兼ね備えている方が多いでしょう。
また、正社員は長期決済型、契約社員は短期決済型というように、雇用形態によって、異なる場合もあります。

重要なのは、これからはどんな要素を主軸にしたいかということです。

②当面の重点課題

次のようなものが考えられます。
これらのひとつ、または複数をピックアップします。

・残業時間削減
・人件費削減
・社員活性化、組織活性化
・定着率アップ
・賃金決定の合理化
・法令遵守、労基署対応
・労務トラブル対応
・メンタルヘルス
・非正社員活用、処遇見直し、正社員登用
・とりあえず就業規則

③主要項目ごとの基本的な考え方

就業規則を構成する主要な項目ごとにまとめていきます。

・採用
・服務、懲戒
・労働時間、休日、休暇
・人事
・賃金
・安全衛生、メンタルヘルス
・休職
・退職、解雇

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2009年12月17日 (木)

人事コンサルタントの雑記帳(11)~就業規則コンサルティング(11)~診断結果をリポート(4)

(3)就業規則をもっといいものにするためには~労務リスク、人材マネジメントの観点から

「機能する就業規則」にするためには、①労務リスク管理、②人材マネジメントの視点の2つの要素が必須です。

今回は、2番目の「人材マネジメントの視点」のお話をします。

会社は人で成り立っています。経営資源には、資金、設備、情報など、さまざまなものがありますが、人材は別格です。

人材の採用、配置・組織化、育成・活性化、評価・処遇という一連の人事戦略をHRM(Human Resource Management、人材マネジメント)戦略というが、これは会社の最重要課題と言っていいでしょう。
では、会社のHRM戦略と就業規則は、どう関係づけられるのでしょうか。

それは、就業規則に「説明責任」という機能をもたせるということです。
つまり、会社の人事制度、さらにいえば会社の人事ポリシーを、就業規則を通じて浸透させるのです。

たとえば、会社が従業員を、何らかの基準でランク付けしているとします。
「役割等級」とか「職能資格」といったものですね。

このランク付けの基準を、就業規則に記載するのです。
ただ、職種別などの詳細な定義を就業規則に入れるのは、避けた方がいいでしょう。
なぜなら、そのレベルのものは、運用をしている中で常に見直されるものだからです。
そのようなものまで就業規則に載せてしまうと、少し見直すだけでも、その都度就業規則の変更手続きをしなければならず、柔軟性が失われてしまいます。
そこで、就業規則には、頻繁に変更されることのない、基本的な基準を記載し、詳細はマニュアルなど別の資料に記載します。

このようにしておくと、就業規則を見ることで、会社は従業員に何を求めているのか、そして従業員は何をどう努力すればステップアップできるのかが明確になります。

このような人材マネジメントの視点を入れることで、働く人のモラール、モチベーションは異なってくるのです。

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2009年12月16日 (水)

雇用無策

政権交代の期待感も、所詮バブルに過ぎなかった?

「成長戦略がない」
--よく言われていますね。
でも、そりゃ無理な注文というもの。。
元々そんなもん、なかったわけですから、政権についた途端に、湧いてくるものでもありません。

雇用、労働についても同じことを感じます。
これからの働き方、労使関係、そして人材活用のあり方を、どうしていくのかが、まったく打ち出されてきません。
雇用政策として出てきたのは、雇用調整助成金の適用緩和ぐらい。

 ・アイデアが勝負のソフト産業
 ・多様な就業形態、労働契約形態があり得る介護産業

ほんの一例ですが、たとえばこういう世界で、現在の労働基準法、つまり、工場のライン労働者をモデルに、終身雇用&年功序列を前提にしたが法律が適合するのか、これからの時代に適合する制度は何かといった議論が、まったくと言っていいほど、聞こえてきません。

もちろん、企業の現場では、いろいろ考えています。
しかし、何かいいアイデアが浮かんでも、法制がネックになることが少なくない。
あるいは、無用なオーバーヘッドを強いられたりします。

やれやれ…

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人事コンサルタントの雑記帳(10)~就業規則コンサルティング(10)~診断結果をリポート(3)

(3)就業規則をもっといいものにするためには~労務リスク、人材マネジメントの観点から

これまでお話ししてきたことをリポートすれば、就業規則として備えるべき要素は揃います。
しかし、就業規則を、「人事労務のツール」として機能するようにするためには、十分とは言えません。

では、「機能する就業規則」にするためには、何を考えなくてはならないのでしょうか?
それは、次の2つです。

<機能する就業規則が備えるべき要素>

①労務リスク管理
②人材マネジメントの視点

①労務リスク管理

会社はさまざまな労務リスクに晒されています。

この労務リスクは次の3つに分類できます。

1)コンプライアンスリスク:法令違反が引き起こす、訴訟などのリスク
2)人的リスク:不祥事、情報漏えいなど、従業員が直接引き起こすリスク
3)健康・メンタルヘルスリスク

1)コンプライアンスリスク

一番目の「コンプライアンスリスク」は、前回までお話ししてきたように、法令に適合した就業規則を整えることで、かなり防ぐことができます。
ただ、そこに、リスク管理の観点をもって条文をつくるかどうかが重要なのです。

たとえば、賃金に関する条文で、「会社は毎年4月、昇給を実施する」とあったとします。
法的には問題ありません。
しかし、これだと、業績にかかわらず会社は毎年必ず昇給を行わなくてはなりません。
また、人事評価などの結果によっては賃金を下げたいこともあるかもしれませんが、それもできません。

もちろん、絶対というわけではありません。
しかし、会社が経営危機にある、本人に大きな不始末があるなどの理由が求められ、ハードルが必要以上に高くなってしまいます。

もちろん、会社が業績を伸ばし、その果実を従業員にも公平に分配するのが、理想的なあり方です。
昇給ストップや賃下げなど、できるだけやりたくないでしょう。

しかし、そのことと、就業規則上で会社の手足を縛ることとは別問題なのです。

2)人的リスク

悪意をもった従業員が、会社の機密情報を持ち出すなどで会社に損害を与えることがあります。
そこまでいかなくても、不注意などで会社や他の社員に迷惑をかけたることもあります。

このようなことは、可能な限り、未然に防がなくてはなりません。
その重要なツールが就業規則なのです。
具体的には、服務に関する規定で、従業員が守るべきことを定め、懲戒に関する規定で、不始末があった場合の罰則を定めます。

3)健康・メンタルヘルスリスク

働く人が心身の健康を害した場合、会社が損害賠償責任を問われることが少なくありません。
しかし、健康・メンタルヘルスに関して会社がさらされているリスクは法的問題だけではありません。
従業員が心身の健康を害した場合、当然、戦力がダウンします。また、他の従業員の負荷も増大します。
また、心身の健康に問題があると、品質やサービスにも悪影響を及ぼします。さらに、労働災害も引き起こしかねません。

このようなリスクを食い止めるためには、健康診断、長時間労働者への面接指導などの体制を整備し、予防に努めます。
不幸にして、心身の健康を害した場合の対応策として、休職制度、メンタルヘルスケア体制を整備します。

以上を就業規則に明記し、周知をすることが、健康・メンタルヘルスリスクを防ぐ第一歩となるのです。

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2009年12月15日 (火)

年末シーズンのテレビって

昨日から急に冷え込んできた。日本海側は雪。スキー場の雪不足は解消されるのだろうか。

テレビをつけると、もう年末の特別番組ばかり。

・「番組対抗○○」とかいう番宣
・拍子抜けする「衝撃映像」
・「NG集」というタコが自分の足を食うような番組

…またこんなのに、しばらく付き合わされるのか?
付き合わないけど。

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2009年12月 9日 (水)

追加経済対策~雇用政策はどうなる?

政府の緊急経済対策が出ました。
雇用対策の目玉は、中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件緩和。

これだけ?というのが実感。

もちろん、この対策は、一定の効果が期待できます。
しかし、どうにも貧弱。
昨年来の対策と変わり映えしません。

何より問題なのは、これからどうやって新しい雇用を生み出すのかという観点が欠落している点です。

上記の対策も、失業増に歯止めをかけるという以上のものではありません。

総額7.2兆円のうち、一番多いのは公共事業と交付税の3.5兆円。
八ツ場ダムの大騒ぎは何だったのでしょうか?
ダムじゃないと言われれば、確かにそうですが…
電線の地中化や都市緑化が無意味というつもりはありませんが、限りある財源の配分として、これが有効なのでしょうか?
事業仕分けで全面否定された、スーパーコンピュータや次世代ロケット開発との優先順位を考えると、どうなんだろうな…

こっちは経済対策ではないのか…

でも、財布は一緒でしょ?

雇用の話に戻すと、現政権は、介護と環境で雇用を生み出すと言っています。
これ自体に異を唱えるつもりはありません。

しかし、具体策がまったく出てこない。

環境といっても、「25%削減するぞ」というアドバルーンを上げたっきりです。

介護と言うなら、この分野の人材をどう育てていくのか、そして何より、現場で働く人の待遇をどう改善するのか、そのための支援をどうするのか?

こういうことを、真剣に考えるべきです。

(まぁ、下手に人材育成などと言うと、またまた、国、都道府県、キラ星のごとく存在する独立行政法人などがこぞって似たような制度を創り出し、挙句に存在意義をPRすることになりかねませんが…)

日本はこれから、どうやって食っていくのか、それを真剣に考えてほしい。
新しい雇用、新しい働き方を創り出していくという発想を、切に望みます。

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人事コンサルタントの雑記帳(9)~就業規則コンサルティング(9)~診断結果をリポート(2)

(2)記載内容に問題はないか

法的な記載事項が一通りあるかどうかを確認したら、今度は、記載内容に問題はないかをチェック、リポートします。

たとえば、退職や解雇に関する事項は、絶対的必要記載事項です。
しかし、あればいいといものでもありません。

たとえば解雇に関する事項。
ここには、解雇の事由を記載します。
たとえば、「事業の縮小等により社員の減員が必要なとき」など。

重要なのは、ここに記載のない事由で従業員を解雇をすることはできません。

たとえば、就業規則の記載が次のようになっていたとします。

第○条 社員が次の各号のいずれかに該当するときは、解雇とする。
(1)精神や身体の障害で業務に耐えられないと認められたとき
(2)事業の縮小等により社員の減員が必要なとき
(3)天災地変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となったとき

この場合、勤務態度や出退勤状況が悪い従業員を解雇したいと思っても、できません。
そのような事由は解雇の要件に入っていないからです。

一般的に、このような条文には、最後に「その他前の各号に準ずる事由があるとき」という包括条項を入れます。
あらゆる事由をあらかじめ想定して条文に入れるのは不可能ですから、このような包括条項も有効です。
しかし、その場合、実際に解雇をしようという事由が、「準ずる事由」になるかどうかの判断が適切かどうかが問われてきます。

事前に想定できる事由は、できる限り入れておく必要があるのです。

もちろん、実際に解雇をする場合、それが有効か無効かの判断は、厳しくなされます。
規定があればいいというものではありません。
しかし、規定がなければ、解雇を考えること自体が難しくなってしまうのです。

また、法改正に対応しているかどうかも重要なポイントです。
たとえば、2010年4月1日施行の改正労働基準法。
これに関しては、時間外割増率の記載がきちんと対応しているかどうかがチェックポイントになります。

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2009年12月 8日 (火)

人事コンサルタントの雑記帳(8)~就業規則コンサルティング(8)~診断結果をリポート(1)

クライアントの就業規則を診断し終えると、結果をリポートします。

(1)必要な項目に漏れはないか

1)法的になくてはならない項目

就業規則の記載事項は労働基準法に定められています。
それは次の2種類。

①絶対的必要記載事項
②相対的必要記載事項

それ以外に「任意的記載事項」と言われるものもあります。

①は、どの就業規則にも必ずなくてはならない事項です。

一方②は、会社に制度があれば定めなくてはならない事項です。

①はある意味シンプルです。
たとえば「始業、終業の時刻」。
これは、絶対的必要記載事項になります。労基法で明確に定められています。
つまり、労基法所定の項目が就業規則に入っているかどうかを見ればいいだけのことです。

「なぜ入っていないか」、「入れるべきかどうか」などということは、考える必要はありません。

※ただし、内容が適切かどうかは別問題です。

意外と厄介なのが、②の相対的必要記載事項です。
記載がない場合、それが「漏れ」なのか、制度がないのか、就業規則だけを見ていても分かりません。そのため、このような場合は、クライアントにきちんと確かめる必要があります。

制度として設けてあるのなら、就業規則に記載するようご提案します。
これは比較的シンプルな話。

問題は、制度とまでは言えるのかどうか、判然としないケース。
特に明文化したものはないものの、慣行的に続けてきたようなものですね。
特別休暇とか慰労金のようなものに、こういうのが結構あります。
また、退職金もそうなっているケースもありました。

このような場合、事実上の労働条件とまでなっているかどうか、実態を把握する必要がでてきます。

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2009年12月 4日 (金)

三越の早期退職

12月2日の日経新聞に、三越の早期退職募集に、社員の1/4にあたる1500人が応募したということが報じられていました。
当初想定の、1.5倍ということです。

百貨店業界の現状を象徴するような出来事ですが…

◆人員削減をせざるを得ないときは

経営状況の悪化した会社が、その危機を乗り切るために、人員削減を図ることがあります。
いわゆる「リストラ」。

人員削減の方法に「整理解雇」がありますが、これは最後の手段。
「業績が苦しいから、整理解雇をしよう」というわけにはいきません。

この手段に踏み切るには、一定の要件を満たさなくてはなりません。
これが「整理解雇の4要件」と言われるものです。
ただ、4つの要件すべてを満たさなくてはならないとは限りません。
会社の規模など、状況に応じて判断されます。
しかし、重要な基準であることは確かです。

その内容は、次の通り。

①人員削減の必要性
②解雇回避の余地がないこと
③対象者の選定基準の合理性
④解雇手続の妥当性

この2番目の「解雇回避の余地がないこと」というのは、解雇に至る前にどんな手を尽くしたかということです。
配置転換・出向、残業停止、新規採用中止、昇給停止・賃金引下げ、一時帰休、早期退職募集などが上げられます。

◆早期退職優遇制度の問題点

このように、早期退職募集は、解雇回避策のひとつと言えます。
優遇措置として、退職金の割増が挙げられます。

この制度の問題は、「残ってほしい社員が希望してきたら?」ということ。
それを防ぐために、「会社が認めた者を対象とする」というかたちにするのが一般的です。
しかし、もし辞めてほしくない社員が手を挙げてきた場合に、「あなたは認めない」とするのは、現実には難しいのではないでしょうか。
また、「あなたには優遇措置を適用しない」と言われて、退職希望を撤回する人もあまりいないように思います。

以上から、早期退職優遇制度を行う場合、経営者や管理職が社員全員と面談をして、上記のような社員にはあらかじめ、「あなたは仮に希望をしても、優遇措置は適用しない」と言うのがいいでしょうね。

◆強要はしてはならない

また、このような制度を設けたからといって、退職を強要してはなりません。
ここは要注意です。
希望退職よりさらに踏み込んだ措置として、「退職勧奨」、いわゆる「肩たたき」がありますが、これも同じです。
繰り返し呼び出しては、退職を促した行為が、違法とされたケースもあります。

「解雇」という形にしたくないがために、本人から退職願を無理やり出させるということは、違法です。
それぐらいなら、きちんと「解雇」という形を取るべきです。

◆誠意をもって対応すべし

どんな形であれ、会社を辞める(辞めさせる)ということは、本人に大変な痛みを強いるものです。
生活など、現実的な問題もあります。
会社は誠意をもって説明し、かつ、再就職支援など、できる限りの対応を取る必要があります。

残った人への対応も欠かせません。
同僚がいなくなり、残った社員の間にも、先行きへの不安が漂っているはずです。
業務負荷も増えることでしょう。
(業績が悪くなっても、仕事量は減らないものです。むしろ、営業をもっとやらなくてはならなくなるなど、業務負荷は増えることもあります。)

経営者は、経営再建後の青写真を示すなど、社員が会社の先行きに希望が持てるよう、最大限の努力を払う必要があります。

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2009年12月 2日 (水)

JALの企業年金減額を考える(3)

松下年金事件では、年金の減額(給付利率の引き下げ)の規定には、合理性があるという判断がなされました。

では、実際に引き下げを実施することについてはどうなのでしょうか?
この点について、大阪高裁は、次のように述べています。

①同社は業績低迷の打開策として「キャッシュバランスプラン」を導入、当面の給付利率を3.5%としており、現役社員が将来受け取る年金と、OBが現在受けている年金との間に大きな格差が生じている。

②同社は既に、従業員、取引先へのコストダウン施策への協力要請、株主への配当減少を実施しており、これらの犠牲のもとに、OBへの年金給付率を維持しているような状況になっている。

③引き下げ後の給付利率でも、当時の金融市場の利率を大きく上回っている。

④同社は説明会などを通じて年金受給者に、利率引き下げの経緯を説明して理解を求め、94.6%の同意を得た。

以上から、給付率引き下げ(給付減額)を有効と判定しています。

つまり、①制度改定(給付減額)の内容の相当性、②制度改定の必要性、つまり会社の経営状況(の悪化)、③手続き(十分な説明、同意)の3つがポイントになるわけです。

ちなみに、確定給付企業年金法施行規則では、給付減額する場合の要件を、次のように定めています。
(もうひとつの代表的な企業年金である「確定拠出企業年金」(いわゆる「日本型401k」)は、運用実績によって給付額が変動する仕組みのため、「給付減額」という概念がそもそもありません)

(給付減額の理由)
第五条  令第四条第二号 の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。ただし、加入者である受給権者(給付を受ける権利(以下「受給権」という。)を有する者をいう。以下同じ。)及び加入者であった者(以下「受給権者等」という。)の給付(加入者である受給権者にあっては、当該受給権に係る給付に限る。)の額を減額する場合にあっては、第二号及び第三号に掲げる理由とする。

一  確定給付企業年金を実施する厚生年金適用事業所(以下「実施事業所」という。)において労働協約等が変更され、その変更に基づき給付の設計の見直しを行う必要があること。
二  実施事業所の経営の状況が悪化したことにより、給付の額を減額することがやむを得ないこと。

三  給付の額を減額しなければ、掛金の額が大幅に上昇し、事業主が掛金を拠出することが困難になると見込まれるため、給付の額を減額することがやむを得ないこと。

(以下略)

(給付減額の手続)
第六条  令第四条第二号 の厚生労働省令で定める手続は、次のとおりとする。

一  規約の変更についての次の同意を得ること。
イ 加入者(給付の額の減額に係る受給権者を除く。以下この号及び次項において同じ。)の三分の一以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意
ロ 加入者の三分の二以上の同意(ただし、加入者の三分の二以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意をもって、これに代えることができる。)

二  受給権者等の給付の額を減額する場合にあっては、次に掲げる手続を経ること。
イ 給付の額の減額について、受給権者等の三分の二以上の同意を得ること。
ロ 受給権者等のうち希望する者に対し、給付の額の減額に係る規約の変更が効力を有することとなる日を法第六十条第三項 に規定する事業年度の末日とみなし、かつ、当該規約の変更による給付の額の減額がないものとして同項 の規定に基づき算定した当該受給権者等に係る最低積立基準額を一時金として支給することその他の当該最低積立基準額が確保される措置を講じていること。

2  給付の額が減額されることとなる加入者が加入者の一部に限られる場合にあっては、前項第一号イ及びロの規定中「加入者」とあるのは、「給付の額が減額されることとなる加入者」とする。

3  給付の額が減額されることとなる受給権者等が受給権者等の一部に限られる場合にあっては、第一項第二号イ及びロの規定中「受給権者等」とあるのは、「給付の額が減額されることとなる受給権者等」とする。

4  第一項第一号の場合において、実施事業所が二以上であるときは、同号の同意は、各実施事業所について得なければならない。

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