2009年6月19日 (金)

「組織・チームの成果」を賃金に反映する企業が増加

◆セミナー「中堅・中小企業のための就業規則作成・見直し講座」
6月24日(水)13:30~16:00開催

賃金を、どんな基準で決定し、どんな仕組みで支払うか?
これは、人を雇う以上、常に経営者の頭を悩ませる問題です。

「できる人に報いたい」
「成果によって差をつけるのは当然だ」
「しかし、長期間がんばっている人に冷たくしたくない」
「個人の成果だけでなく、チームの成果も見ないと」

…こんな風に、いろいろな考えがあります。

会社内外の環境によっても、変化します。

私が在籍していた会社でも、社業が沈滞ムードだったときは、「新規事業、改革」にシフトした基準をつくったことがあります。
人事制度面から、新規事業創出にドライブをかけようと試みたわけです。

では、世の中一般の動きはどうなっているのでしょうか?
この点について、独立行政法人労働政策研究・研修機構が去る6月16日、「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」結果を発表しました。

従業員数50人以上の企業へのアンケート調査です。

同調査によると、企業は今後の賃金体系について、次のように考えているようです。

・賃金体系は、「職能」「職責・役割」をより重視する傾向に
・賃金制度の見直しでは、「組織・チームの成果」を賃金に反映する企業が増加する見込み
・今後の賃金制度運用面の見直しでは4 割が「評価による昇進・昇格の厳格化」をあげる

成果主義は近年、ネガティブな側面が強調されています。
しかし、成果を人事処遇の基準にすること自体は、間違ってはいません。

実は、この点に異論を唱える人は、そう多くはありません。

では何が問題だったのか?
それは、次のような点でしょう。

・数値万能主義になってしまっていた。
・結果万能主義になってしまっていた。そのため、途中の「プロセス」が軽視された。
・半年や1年など、短期的な成果を重視しすぎた。
・個人成果を重視しすぎた。そのため、チームへの貢献がおざなりにされた。

こういったデメリットもきちんと押さえたうえで、自社にフィットした人事・賃金制度を検討しましょう。

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トラブルなく人件費を削減するノウハウ(8)人件費の構成比率から何が見える?

◆セミナー「中堅・中小企業のための就業規則作成・見直し講座」
6月24日(水)13:30~16:00開催

前回、人件費が費目ごとにどんな構成になっているかを見てみました。

この中で、いわゆる「現金給与」、つまり月例の給与と賞与が総額人件費に占める比率は次のようになっていました。

・所定内賃金:59.32%
・所定外賃金:5.89%
・賞与:15.81%

ただ、この統計調査の元になった残業時間は約14時間です。
もし30時間程度になったとしたら、所定外賃金の比率は12%程度になると思われます。

人件費に頭を悩ませている経営者の方は多いと思います。
特に現在の景気情勢では。

しかし、そのために法違反を犯してはなりません。

法違反の典型が、サービス残業。

これが表ざたになると…

・労基署の指導
・過去2年の遡り払い+遅延利息
・刑事告発

…こんな「悪夢のシナリオ」が待っています。
会社存亡の危機にもなりかねません。

ところで、上の数字を見ていると、あることに気づきませんか?
そう、所定外賃金の比率は賞与の3分の1程度なのです。

もちろん、前述の通り、これは残業時間が約14時間の場合の数字ですから、残業時間がもっと長い場合は、比率も上がります。
それでも、賞与と大体同じぐらい。

「だから時間外手当は大したことないのだ」などと言うつもりはありません。
やはりコストとしてはバカになりません。

ただ、肝心なのは、「ある特定の費目だけにこだわらない」ということ、言い方を変えると、「総額人件費のワクで考えましょう」ということなのです。

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2009年6月16日 (火)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ(7)人件費それぞれの費目はどれぐらいの比率になっているか

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◆人件費構成とは

以前お話しした通り、人件費にはいろいろな項目があります。
そして、それぞれの項目が、人件費全体の中でどれぐらいの比率を占めているかを示したのが、「人件費構成」です。

これがどれぐらいになっているかを、しっかり把握しましょう。

人件費を何とかしたいという場合、当然のことながら、額の大きいもの、つまり構成比の大きいものに目をつけた方が効果があります。

比率の小さいものをいくらいじっても、たとえゼロにしても、全体に与える影響は知れています。
そのようなものを何とかしようと、労力をかけても、「労多くして功少なし」ということになりかねません。

「そんなバカなことをやっている会社なんて、あるの?」と思われるかもしれません。

ありますよ、意外と。

◆一般的な人件費構成は

では、実際のところ、人件費構成はどうなっているのでしょうか?
もちろんこれは、会社によってさまざまです。

ここでは、2006年就労条件総合調査と2008年賃金構造基本統計調査を元に算出したデータをお示しします。

(2006年就労条件総合調査は、月例賃金の内訳(所定内・所定外)が示されていないため、2008年賃金構造基本統計調査の比率を使った。なお、この方法は「要員・総額人件費マネジメント」(河合克彦著・社会経済生産性本部)から引用している)

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2009年6月15日 (月)

成果主義を賃下げの口実に使ってはならない

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6月9日の朝日新聞、シリーズ企画「働く 賃下げショック」の第2回は、成果主義賃金制度のもとで、不当な賃金カットを受けている様子がリポートされていました。

「パフォーマンスが悪い」という理由で年収3割ダウン。しかし営業成績は前期より上。

…こんな事例です。

う~ん。
こういう風に成果主義を「活用」するから、成果主義の評価が下がっていくのですよね。
こんなものは、成果主義でも何でもありません。
単なる賃下げ。

経営状況が悪化して、賃金カットせざるを得なくなることはあります。
どうしても。

やりたくないことですが。

しかしそれなら、そのように説明しなくてはなりません。
きちんと情報開示して。

それをやらずに、合理的な理由のないまま、評価を下げ、賃金を下げるということは、絶対にしてはなりません。

しかるべき基準に基づいた評価の結果、賃金が下がるのは、仕方ありません。
むしろ、当然のことと言っていいでしょう。

しかし、賃下げの隠れ蓑に成果主義を使ってはならないのです。
もっときちんと従業員に向き合い、説明すべきは説明して、理解を求める努力をしましょう。

それを怠ると、訴訟など、大きな労務リスクにつながっていきます。
何より、会社の成長につながりません。

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2009年6月12日 (金)

野村証券の業績連動報酬制

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6月10日の日経新聞に、野村証券が業績連動の報酬制を7月から導入するということが報じられていました。

記事から、同制度の概要をご紹介します。

・新たに導入する「特定社員」と呼ぶ職種を社員が自ら選択できるようにする。
・特定社員になると、個人や部署の業績がそのまま報酬に連動する
・個人の成果次第で高い報酬が得られる可能性がある反面、定年までの雇用保証や企業年金制度などはなし。
・外資系金融機関と似た働き方を取り入れることで、旧リーマン・ブラザーズ出身の社員との人材の融合を急ぐ。

記事は、移行の対象となる約2400人の国内社員のうち、7月から特定社員になることを決めたのは約850人で、中でも国内法人取引部門(約1600人)では約45%となる700人強が特定社員になることを決めたということです。
また、今回は選ばなかった社員も来年以降、移行を選択できるため、今後も人数が膨らむ公算が大きいとしています。

この特定社員制度、少し前のAERA(5月25日発売の6月1日号)でも紹介されていました。
同記事は、バブル世代狙い打ちのリストラという色合いが濃いような書き方をしています。

自由選択といいながら、選ばざるを得ないような状況に追い込まれているとか。

真のねらいがそこなのか、何とも言えませんが、外資系金融機関と同様の制度を入れることへの戸惑いはあるでしょうね。

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2009年6月 5日 (金)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ(6)人件費の概念を広げるべし Part2

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◆外部人材の経費をどう考えるべきか?

派遣社員や請負などの外部人材を活用する会社は少なくありません。

では、派遣や請負にかかる経費は、どう考えるべきでしょうか。

これは会社によって様々ですが、雑費などの費目で処理していることが多いように思います。

つまり、人件費にはカウントしていないということですね。

年1~2回のイベントなどで派遣スタッフをお願いするなど、本当にテンポラリーに外部人材を活用する程度であれば、それでも問題はないでしょう。

しかし、恒常的に外部人材を活用しているような場合は、人件費として管理すべきでしょう。
なぜなら、これらは、元々内部人材で行っていた、つまり人件費の対象になっていた業務を置き換えたに過ぎないからです。

したがって、これらの経費も人件費に含めないと、総額人件費管理がどうなっているか、労働生産性などがどうなっているかなどが正確に把握できないことになります。

人件費の範囲、概念などに関する話は、ここでひとまず終了します。
次回から、人件費の削減策のお話に入っていきましょう。

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2009年6月 2日 (火)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ(5)人件費の概念を広げるべし

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◆人件費は直接雇用している人だけが対象?

ところで、人件費というのは、誰に関する経費を指すのでしょうか?

正社員に支払う給与や法定福利などの経費については、異論のないところでしょう。

誰がどう考えても人件費です。

では役員は?

役員は労働者ではありません。
会社との関係は委任契約関係になっており、労働契約になっていません。
会社に使われているわけではなく、会社を経営する立場です。

したがって、役員報酬などの役員に関する経費は人件費になりません。
ただし、役員でも、「取締役営業部長」など、従業員部分も併せ持つ、いわゆる「兼務役員」という人がいます。

このような場合は、役員報酬のうち、従業員としての業務に対応する部分(上記の例では、営業部長の業務に対する報酬)は、人件費としてカウントします。

実務的には、全従業員(役員、兼務役員除く)の最高賃金額を、兼務役員報酬の従業員部分とすることが多いようです。

では、パートタイマーや契約社員は?
これは明らかに労働者ですから、こうした人に支払う給与などは、当然人件費になります。

ここまでは、異論のないところでしょう。
どの会社でも、これらの経費は、人件費として把握しています。

では、派遣社員や業務請負に関する経費は、どうなのでしょうか?

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2009年5月29日 (金)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ(4)人件費はコントロール可能か? Part2

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前回、人件費には、コントロールが可能な人件費とコントロールが不可能(あるいは難しい)人件費があるというお話をしました。

しかし、人件費には、単純に「コントロールできる・できない」の一方に分類できないものもあります。

それは次の項目です。

・所定時間内賃金
・所定時間外賃金
・退職金費用

◆所定時間内賃金

コントロールできるかどうかは、制度設計次第です。

賃金が年功序列型の場合は、コントロールする余地は極めて限られてきます。
特に年齢や勤続に応じて自動的に昇給するような仕組みであったり、自動昇給の割合が大きいような場合ですね。

会社ができるのは、ベースアップをどうするかをコントロールすることだけ。
つまり、「上がり方」のコントロールです。

「日本の賃金は下方硬直性が強い」と言われるゆえんです。

これを弾力的に運用できるようにしたのが成果主義型賃金です。
成果主義の主目的は、人材の戦力化ですが、賃金を会社業績と個人・部署の成果に応じて柔軟に決定できるようにするという人件費管理も、目的のひとつになります。

ただ、月例賃金、特に所定時間内賃金は、ある程度の安定性も必要です。
制度設計の際には、その点も考慮に入れるようにしましょう。

◆所定時間外賃金

これは残業時間・休日出勤時間次第です。
したがって、業務の繁閑次第ということになります。

また、会社が強い意志をもって時短を進めることで、この部分を削減することは可能です。

◆退職金費用

これも所定時間内賃金同様、制度設計次第です。
ただ、将来の退職金負担を抑制するために、退職金制度を変更する場合は、既得権の問題に要注意です。

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2009年5月27日 (水)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ(3)人件費はコントロール可能か? Part1

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◆コントロールできる人件費とできない人件費がある

人件費には、前回お話しした通り、いろいろなものがあります。
前回はこれを、「現金給与」と「現金給与以外の人件費」に分けて考えました。

この見方は、従業員に支払っている給与・賞与だけが人件費ではないということを、しっかり意識させてくれます。

ところで、人件費には、別のとらえ方というか、分類方法があります。

それは、「会社(経営者)がコントロールできるのか、できないのか」という観点からの分類です。

◆コントロールできない人件費とは?

コントロールできない人件費の代表格が、法定福利費、つまり社会保険料の事業主負担分です。

これを完全に会社がコントロールするのは不可能です。

社会保険料率も上昇傾向にあります。
2009年は雇用保険料が引き下げになりましたが、このようなことは例外と考えておいた方がいいでしょう。
医療保険、年金財政の逼迫を背景に、社会保険料率が今後も増加が予想されます。

ただ、コントロールがまったくできないかといえば、そんなことはありません。
採用数の抑制や賃上げ・賞与の抑制などによって、間接的に法定福利費の伸びを抑制することはできます。

◆コントロールできる人件費とは?

採用費、教育研修費は、会社の政策などによって、弾力的に増減できるでしょう。
また、法定外福利費も、比較的コントロール可能です。
ただし、就業規則に定めてある場合は、福利厚生も労働条件になりますから、減らす場合は、きちんと協議、手続きを踏まなくてはなりません。

賞与も、会社のコントロールの余地が大きい人件費項目でしょう。
一般的に賞与は、会社の業績や個人の成果に応じて支払うとしているケースが多いので、弾力的に額を決めることが可能です。

ただし、労働組合との団体交渉で賞与を決めている場合は、労使合意をきちんとしなくてはなりません。

また、就業規則に「賞与は○月○日に、○○ヶ月」という風に、計算式などが明記してある場合は、その内容が会社の義務となりますので、「弾力的に決める」というわけにはいかなくなりますから、注意が必要です。

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2009年5月25日 (月)

トラブルなく人件費を削減するノウハウ (2)人件費とは何か?

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よく「人件費が増えている」といった言い方をされますね。
ところが、人件費とは何かということが、意外と理解されていません。

◆人件費は賃金だけではない

(1)現金給与総額

人件費というと、まず思い浮かべるのが賃金です。
しかし、人件費というのは、月々の賃金だけではありません。

賞与ももちろん人件費です。

また、月々の賃金も、基本給などの「所定時間内賃金」だけではないですよね。
残業や休日出勤をしたときに支払う「所定時間外賃金」も当然含まれます。

昇給などを検討するときは、こうしたことも念頭に置かなくてはなりません。

所定時間外賃金は、所定時間内賃金に連動して変動します。

また、賞与が「基本給×○○月」という風に、所定内賃金と連動している場合は、昇給が賞与にも跳ね返ります。

毎月の賃金と賞与の合計を「現金給与総額」といいます。

(2)退職金費用

次に考えなくてはならないのが、退職金関係の費用です。
退職引当金、退職年金掛け金などの費用ですね。
会社がどのような退職金、退職年金制度をとっていて、どれぐらいの経費がかかっているかをしっかり把握する必要があります。

(3)福利厚生費

人件費項目で無視できないのが「法定福利費」です。
これは何かというと、社会保険料の事業主負担分のことです。

これをごまかそうとして、社会保険に加入させるべき従業員を加入させなかったり、標準報酬を改ざんしたりといったイリーガルな行為をする会社が出て、社会問題になりましたね。
(この問題については、回を改めてお話しします)。

福利厚生費のうち法に定められていないもの、つまり会社が任意に設定できるものを「法定外福利費」といいます。

社宅費用、レクリエーション費用、社員食堂、財形貯蓄補助、利子補給、自己啓発支援など多岐に渡ります。

(4)その他

会計上は人件費にカウントしていないかもしれませんが、採用費、教育研修費なども、広い意味で人件費に入ります。

以上をまとめると、次のようになります。
自社がどのような状況になっているか、きちんと把握するようにするのがいいですね。

(1)現金給与総額
・所定内賃金
・所定外賃金
・賞与、一時金

(2)現金給与以外の人件費
①退職金費用
②法定福利費
③法定外福利費
④その他(採用費、教育研修費)

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