メール残業は労働時間?

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◆業務がたてこみ、自宅に仕事を持ち帰って処理したという経験、ありませんか?
ネット社会は、「いつでもどこでも仕事」という環境。
自宅のパソコンに仕事のファイルを送り、帰宅後に仕事をするとういことも、珍しくありません。
昔は「風呂敷残業」などと言われたものです。
自宅で仕事をする場合、書類などを家に持ち帰っていたわけですね。
ネットを活用すれば、重たい書類を持ち帰る必要がなくなり、「気軽に」家に仕事を持ち帰ったり、既に帰宅していたり、休暇中の人に仕事を送ることができてしまいます。
セキュリティの問題が心配ではありますが。
◆こうしたことは過重労働につながりがち。
労働弁護団への相談も増えているようです。
8月15日の朝日新聞に、そんな状況が書かれていました。
記事によると、日本労働弁護団が6月に1日だけ実施した「残業・労働トラブルホットライン」に、この「メール残業」に関する相談が寄せられているということです。
記事から引用します。
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小川英郎弁護士は「『添付ファイル残業』の悩みの相談がここ3~4年で目立ち始めた」と指摘する。職場でやり残した仕事のファイルをメールで自宅のパソコンに送って帰宅後に作業したり、休日も携帯電話で心理的に拘束され続けたりするケースだ。 」
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◆そもそも、この「持ち帰り残業」(風呂敷でもネットでも、本質は同じです)、「労働時間」になるのでしょうか?
これはとても微妙な問題です。
<自宅での仕事に応じる義務はない>
まず、自宅で仕事をせよという業務命令は、有効なのでしょうか?
安西愈著「労働時間・休日・休暇の法律実務」によると、労働者にはこのような業務命令に応じる義務はありません。
同書から、該当箇所を引用します。
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労働契約において、通常労務提供として約束したものは使用者の指揮監督下に一定の時間労務の提供のために自己の労働力をおくというものであるから、それは使用者の支配管理下で労働を行うことを約束したものである。
したがって、使用者の支配管理をはなれて私生活の場である家庭における時間まで使用者に提供することを約諾したものではないから、労働者は使用者のこのような自宅に持ち帰って業務を行うという命令に応じる義務はない(したがって、拒否しても業務命令違反とはならない)。
あくまでも本人の同意(明示的な場合のみならず黙って業務に従事するという黙示的な合意も含む)に基づくものでなければならないし、多くの場合には、自主的に行われている。
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在宅勤務制などの場合、自宅で仕事をするという合意がなされていると言えるわけです。
<自主的に自宅で仕事をした場合は?>
この場合、原則として労働時間にはなりません。
なぜなら、「使用者の支配管理下で従事した労働」にならないからです。
それなら、「事業場外のみなし労働時間制や裁量労働制が適用されている場合は?」
これは、そもそも「労働時間の算定が難しい」場合や「業務の遂行を労働者本人にゆだねる」場合に適用されるものです。
したがって、「この時間は労働時間かどうか?」ということを判断する余地はありません。
<でも、業務が終わらない場合は?>
しかし、持ち帰り残業の実態を考えると、「勝手にやっているだけなので、労働時間ではない」と言い切ってしまっていいものでしょうか?
中には、「自分は家で仕事をする方が気分が乗るし、はかどる。残業代などどうでもいいから家に仕事を持ち帰る」という人もいるかもしれません。
しかし、世の中、そんな人ばかりではありません。
どうしても仕事が終わらない(間に合わない)、でも上司は残業を許可しない(残業命令を出さない)ために、やむなく持ち帰り残業をやっているケースが大半ではないでしょうか?
そういう場合は?
労働時間と解される可能性大です。
残業をしなければ終わらないような業務量で、しかも持ち帰り残業を事実上「黙認」していたような場合、その持ち帰り仕事の時間は、労働時間と解されるということです。
「自主的にやっている部分は労働時間にならない」と言っても、実態がどうなのかということですね。
また、自主性にまかせたあげく、過労で倒れるようなことになったら、大変です。
適切な勤務管理、業務管理が欠かせないということですね。
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