2009年7月 7日 (火)

経歴詐称して入社したことを判明した場合は?(2)

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◆犯罪歴は申告しなくてはならないか?

刑事事件で刑事事件で公判中だった事実を秘匿していたことについて、「申告すべき義務があったとはいえない」とした裁判例があります。

ただしこれは、公判中という事例。

有罪判決が確定していた場合はどうなるのでしょうか?
「必ずしも申告しなくてよい」という見解もあります。
しかしその一方で、確定した有罪判決は、「賞罰」の「罰」に該当し、申告すべきであるという見解もあります。
判例も、この立場に立っています。

◆前職での処分歴は

では、前職で懲戒処分を受けたという事実があった場合、応募者は、これを正直に申告しなくてはならないのでしょうか?

この点については、申告の義務はないというのが定説です。
つまり、このような経歴を申告していなくても、それだけをもって経歴詐称として処分することはできません。

会社にしてみると、悩ましいことですね。
懲戒の内容にもよりますが。

もしこれが、横領など、重大な行為だった場合、「もう大丈夫か?」と考えざるを得ないでしょう。

しかし、刑事罰に処せられていなければ、この事実を秘匿していたことをもって、解雇などの処分にすることはできません。

もしこのような事実が発覚した場合、本人に、会社がその事実を知っていることを伝え、本人に事情聴取をすることが現実的な対応でしょう。

そのうえで、一定期間は「観察期間」として、本人の業務をしっかり管理するという措置を取るのが良いと考えます。

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2009年7月 6日 (月)

経歴詐称して入社したことを判明した場合は?(1)

◆セミナー「中堅・中小企業のための就業規則作成・見直し講座」
7月13日(月)13:30~16:00開催

◆経歴詐称とは

7月6日の日経新聞「リーガル3分間ゼミ」、今回のテーマは「採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?」というものでした。

記事は大学中退の経歴を高卒と偽っていた事実が入社後に判明、解雇処分に該当すると人事から言われたという事例です。

記事は、「学歴を高く詐称するか低く詐称するかに関係なく、虚偽の学歴を申告する行為自体が問題。最終学歴の詐称は重要な経歴詐称とみなされ、解雇処分となる可能性が高い」とする弁護士の見解を紹介しています。

過去の判例も、「雇用関係は, 労働力の給付を中核としながらも, 労働者と使用者との相互の信頼関係に基礎を置く継続的な契約関係であるということができるから, 使用者が, 雇用契約の締結に先立ち, 雇用しようとする労働者に対し, その労働力評価に直接関わる事項ばかりでなく, 当該企業あるいは職場への適応性, 貢献意欲, 企業の信用の保持等企業秩序の維持に関係する事項についても必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には, 労働者は, 信義則上, 真実を告知すべき義務を負うというべきである」と、経歴詐称には厳しい態度をとっています。

つまり、経歴を詐称すること自体、労使の信頼関係を損なう行為であり、そのこと自体が制裁の対象となるということです。

経歴詐称で問題となるのは特に、採用の決定に重要な決定を与える事実を秘匿したり、偽ったりした場合です。

その点で、学歴や職歴を詐称することは、経歴詐称として解雇などの処分の対象になる可能性が高いと考えていいでしょう。

◆犯罪歴、処罰歴は?

問題となることが多いのは、学歴や職歴といった、能力評価などに影響を及ぼすと考えて問題ない経歴を秘匿していた場合です。

これは、その経歴が採否決定に有する意義や重要性だけでなく、「そもそも申告する必要があるのか?」という問題もあります。

上記記事は、刑事事件で公判中だった事実を秘匿していたことについて、「申告すべき義務があったとはいえない」とした裁判例を紹介、「犯罪歴は能力や適性と無関係。必ずしも申告しなくてもよい」という弁護士の見解を紹介しています。

ただ上記は、公判中という事例です。
有罪判決が確定していた場合はどいうなるでしょうか?

また、犯罪ではなく、前職での処分歴などはどうでしょうか?

次回、この問題を見ていきましょう。

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2009年6月 3日 (水)

ネットオークションは兼業禁止規定に抵触する? Part2

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6月9日(火)13:30~16:00開催

前回お話しした通り、会社が従業員の副業・兼業を制限または禁止することができる、つまり兼業制限が有効とされるのは、次のような場合になります。

・兼業が不正な競業にあたる場合
・働き過ぎによって健康を害するおそれがある場合
・兼業の態様が会社の社会的信用を傷つける場合

では、従業員が副業としてネットオークションなどのネットビジネスをやっている場合は、どうなのでしょうか?

◆就業時間中の行為は禁止される

ネットオークションに関する行為を就業時間中に行うことは、当然禁止できます。

これは「兼業制限」以前に、「職務専念義務」に違反する行為です。
また、会社のPC、ネットワークを使っていた場合は、会社の資産を私的に使ったことにもなります。

したがって、こうした行為は会社は当然禁止できますし、それに違反した場合は処罰の対象にできます。

◆プライベートな時間の場合は?

では、プライベートな時間を使ってネットオークションをビジネスとしてやっている場合はどうなるのでしょうか?

これは、会社の事業内容やネットビジネスの内容などによって、異なってきます。

◆不正な競業にあたるか

ネットオークションで販売している物品、サービスが会社の事業とバッティングしているかどうかが、判断基準のひとつになります。

たとえば、アパレルメーカーの社員が、ライバル会社の商品を仕入れて、ネットオークションで販売するような行為は、不正な競業になると考えられます。

なお、アルバイトなどの兼業の場合、情報漏洩の可能性も考慮に入れますが、ネットオークションの場合は、関係ないでしょう。

◆健康を害するおそれがあるか

深夜までネット取引をしていた影響で、睡眠不足や心身の不調を来すような場合は、副業を禁止できます。

ただ、遅刻が増えた、就業中に居眠りをするようになったといった、具体的な「事象」が必要と思われます。

なぜなら、たとえば就業時間後に居酒屋などで深夜~早朝までアルバイトをするというような場合、睡眠が十分取れないといった生活に与える影響が、割とはっきりしますが、ネットオークションなどの場合は、実態がなかなか把握できないためです。

取引時間、取引量などから、ほぼ毎日、深夜遅くまで取引をしていたことが明らかな場合であれば、規制はできるかもしれませんが。

◆会社の社会的信用を傷つけるか

ネットオークションでトラブルになった場合、トラブルの内容などによっては、処罰の対象にできます。

また、麻薬、児童ポルノなど、違法なものを売買していた場合は、犯罪行為になりますから、処罰の対象にできます。

では合法であっても、アダルト商品など、イメージダウンにつながるような商品を販売していた場合は?

この場合も、禁止、処罰の対象になると考えていいでしょう。

確かに、ネットオークションでは、出品中は本名は出ません。
ない、取引成立後でも会社名までは出ないでしょう。

しかし、何がきっかけで、出品者の会社名が知られないとも限りません。
そうなってしまうと、会社のイメージがダウンしてしまいます。

したがって、そのような行為が判明した場合は、処罰可能と考えます。

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2009年6月 2日 (火)

ネットオークションは兼業禁止規定に抵触する? Part1

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6月9日~7月13日、計4回開催

ネットオークションをビジネスにしている人、副業にしている人は珍しくありませんね。

一方、社員の副業を禁止する会社も、珍しくありません。
最近は不況で、会社を一部休業にする一方、休業日のアルバイトを認める例もありますが、これは緊急避難的措置と考えた方がいいでしょう。

では、社員がネットオークションを副業にしている場合、会社の兼業禁止規定に抵触するのでしょうか?
また、このような行為を、就業規則違反として処罰できるのでしょうか?
(なお、ここで「副業としている」とは、常時商品を仕入れ、ネットオークションで売却して利益を得ている状態を指します。たまに、自分や家族の不用品などをネットオークションで売るような行為は除外して考えます)。

この問題は、次の2つの側面から考えます。

①兼業禁止規定そのものの有効性
②本人の行為と兼業禁止規定との関係

今回はまず、兼業禁止規定そのものの有効性について考えてみます。

◆兼業禁止規定はどこまで有効か?

会社の従業員は、会社に対して「職務専念義務」を負います。
つまり、会社の業務に専念し、誠実に業務を遂行するということです。
その点から、会社の業務以外の業務に就く、いわゆる兼業を禁止することも、妥当なことと言えるでしょう。

しかし、このような規定を、プライベートな時間にまで及ぼすとなると、問題が出ます。

上記の職務専念義務が対象になるのは、原則として就業時間中のことです。
逆から言うと、就業時間外のプライベートな時間は、本人の自由な時間であり、会社の規制には限界があります。

しかし、会社の名誉を傷つけるような行為は、私生活上といえども禁止できます。
たとえば、社員がプライベートな時間に犯罪行為を起こした場合、それを理由に懲戒処分にすることは可能です。

では、兼業はどう考えるべきでしょうか?
この点、判例は次のように、会社の信用などに与える影響や本業に与える影響を判断基準にしています。

「労働者がその自由なる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労務提供のための基礎的条件をなすものであるから、使用者としても労働者の自由な時間の利用に関心をもたざるをえず、また、兼業の内容によっては企業の経営秩序を害し、または企業の対外的信用、対面が傷つけられる場合もありうるので、従業員の兼業の諾否について、労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮した上で会社の承諾にかからしむる旨の規定を就業規則に定めることは不当とはいいがたい」(小川建設事件・昭和57年・東京地裁)

つまり兼業制限が有効とされるのは、次のような場合になるのです。

・兼業が不正な競業にあたる場合
・働き過ぎによって健康を害するおそれがある場合
・兼業の態様が会社の社会的信用を傷つける場合

したがって、個々の事情にかかわらず、あらゆる兼業を禁止するというわけにはいかきません。

しかしながら、兼業が問題ないかどうかを、従業員が勝手に判断していいものではありません。

兼業が会社にどのような影響があるかを、会社が判断する必要があります。

したがって、兼業を会社の許可制にするという規定を設けるのは有効です。
ただしこの場合でも、「不許可」とする場合、合理的な理由が必要です。
なんでもかんでも「ダメ」とすることはできません。

次回は、ネットオークションと兼業禁止規定の関係を検討します。

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