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◆従業員の引き抜き行為は違法か?
在職中あるいは退職した従業員が、在職中の従業員を引き抜き、自分が設立した会社あるいは転職した会社に入社させるということがあります。
会社としては、このようなことはしてもらいたくありませんね。
しかし、これは、「職業選択の自由」と絡む問題であり、無制限な制約はできません。
在職中の従業員が独立を考えて他の従業員の引抜を図るようなケースや、ある企業が他社の従業員を引き抜くという行為が、違法かどうかは、次のような要素が判断基準になります。
・転職する従業員の地位、待遇
・転職する人数
・転職が会社に及ぼす影響
・転職の勧誘方法
そして、社会的相当性を逸脱した悪質な方法で行われた場合は違法となります。
一方、引き抜き行為が単なる転職の勧誘にとどまっている場合は、違法とはいえません。
退職者による従業員の引き抜き行為も同様に考えていいだろう。
ただしこれも、前述の競業避止義務同様、職業選択の自由と絡む問題であり、無制限な制約はできない。
◆ライバル会社に転職した従業員への退職金減額・不支給は可能?
退職金を不支給としたり、減額する場合は、その点に関する就業規則上の根拠が必要です。
では、就業規則に、「競業避止義務違反の場合は退職金を減額または不支給とする」と定めることは可能でしょうか?
この点について、同業他社に転職した場合は自己都合退職金を半額にすると定めた退職金規則の有効性が争われた裁判で、次のような判決が出されています。
「退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもって直ちに社員の職業の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがって、被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合退職による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置とすることはできない。」(三晃社事件・最高裁・昭和52年)
つまり、合理性があれば、退職金の減額措置や不支給も許されるということです。
◆ライバル会社への一斉転職は背信とした判決が出ました
有線最大手USENの関連会社に一斉転職した競合社キャンシステムの元従業員約300人が、会社側に退職金を求めた訴訟の判決で、東京地裁は10月28日、一部を除いて請求を棄却しました。
同事件は、キャン社を退職した元役員がUSEN関連会社は2003年7月に設立、直後にキャン社従業員の約3分の1に当たる約500人が移ったというもの。
裁判長は「全国規模で一斉退職すれば、会社の業務が完全にまひ、停止すると認識しながら、あえて示し合わせて退職届を出しており、会社への著しい背信的行為だ」と指摘。従業員らを懲戒解雇としたキャン社の処分は有効として、退職金を支払う必要はないとしました。
ただし、退職者のうち、25人については「大半の原告が一斉退職した後の退職で、会社が大混乱に陥る中、今のうちに少しでも待遇の良い会社へ移ろうと考えて退職しても責めることはできない」として、計約1,800万円の退職金を支払うよう命じました。
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