就業規則から労務管理が見えてくる(6)~労働時間2
就業規則を通して労働法、労務管理を考えていこうというシリーズ、少し間があいてしまいました。今日で第6回目です。
前回に引き続き、「労働時間とは何か?」という問題をもう少し考えていきましょう。
ここをしっかりおさえておくと、就業規則作成にとどまらず、労務管理や労使関係にも必ず役に立ちます。
逆に、この部分が適当だったために、トラブルになったり、当局の指導・摘発を受けたりといったケースは少なくありません。
労働基準法では、労働時間の限度(法定労働時間)を1週40時間、1日8時間と定めています。(それを超える時間=残業時間については、後日書きます)。
※従業員10人未満の飲食店などの場合は1週44時間、1日8時間という特例があります。
ここでいう「労働時間」とは、休憩時間を除いた、いわゆる「実働時間」を指します。たとえば、始業9時、終業18時、休憩12時~13時となっていれば、拘束9時間、休憩1時間、実働8時間ということになります。
「1週」は、通常は日曜日~土曜日の「暦週」を意味しますが、就業規則で、別の決め方もできます。ただ、特別な必要性がなければ、暦週を使うのがいいでしょう。
「1日」は、午前0時から午後12時までの暦日を指します。
それでは、残業が長引いて、午後12時を過ぎた場合などはどうなるのでしょうか。この場合、暦日をまたがっていても1勤務として扱います。
それでは、今度は、徹夜になってしまった場合はどうなるのか?この場合は、徹夜明けの日の始業時刻までを、前日からの勤務時間としてカウントすることになります。
それでは具体的に、労働時間になる、ならないを、これまでの通達や判例から拾ってみます。(労務行政研究所「労働法全書」、中央経済社「労働基準法実務相談」より抜粋)
<労働時間になる例>
・昼休み中の来客当番
・黙示の指示による労働時間
たとえば、管理者が部下に、明確に残業を指示していなくても、部下が法定労働時間を超えて仕事をし、それを黙認していた場合は、労働時間(残業時間)となります。
・終業時間外の教育訓練
自由参加のものであれば、労働時間にはなりません。
・着替え時間
着用を義務づけられた作業服などを、事業所内で着替える時間は労働時間になります。
・仮眠時間
これは後で解説します。
<労働時間にならない例>
・出張先への往復に要した時間
出張中の移動時間は、労働時間になります。
・趣味の会の活動
仮眠時間はどう考えるべきでしょうか。
平成14年に最高裁は、「労働時間になる」という判断を示しました。
これは、次のような事例です。
・対象はビル管理人
・仮眠室で仮眠を取ることができる。ただし、仮眠時間中に突発業務が発生した場合は対応しなくてはならない。したがって、警報や電話には、相応の対応が義務づけられている。
そして、判決のポイントは次の通りです。
・労働時間にならないというためには、使用者の指揮命令下から離脱している、つまり労働者が労働から離れていることを補償されている状態でなくてはならない。
・今回のケースは、仮眠室における待機と、警報や電話に対する対応が義務づけられている。したがって、この仮眠時間は労働基準法上の労働時間である。
つまり、仮眠時間といえども、何かあればすぐに対応しなければいけないような状況にある場合は、労働時間になるということです。
たとえば、いつも仕事をしているデスクに顔を伏せて仮眠を取ったなどという場合は、労働時間とされるでしょう。
逆に、仮眠室などに入り、仮眠中は、上司の呼び出しや電話などに一切出なくていいということにすれば、労働時間とする必要はないと思われます。
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